内視鏡世界
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髪垂れ白き頸に 怨み滲む雨が降る 嗚呼 水魅戯 濡々と蔓が 肌を撫でる 水魅戯 窪める眼窩 言靈を語らず 唯 皺皺の手を合はせ 合掌 合掌 百万遍の念仏 唱へてみるは崖下 濁流の中 泥に塗れ沈む手 嗚呼 厭離穢土 遥か瞰上げる水面に 母の顏 厭離穢土 四つん這いに這い回るは 己の痴と闇 粗荒しい雨の匂ひ 穩やかに畝りゆく 涅槃の雲に隠れ 寂滅 荒れ狂った激流を悠々と遡り 河底に横たわる身体を包み 「生きていい」と言ってくれた 四辺は煤色 山あひに紅衣が唯一人 混沌 混沌 耳を聳て 流るる闇を聴け 己が形 濡濡と点滴る鬼哭の涙 鳴き淀む碧き沼 浮き上がり地に潛り 厭離穢土 寂寞と潤温帯びて 嶮しく深い谷越え 厭離穢土 在るものが在るが儘に在る 譬へば緑蕪のやふ 鮮やかに染まる髪 己は蠱となり 新しい雨の匂ひ 穩やかに畝りゆく 涅槃の雲に隱れ 寂滅 蒼冥へ 漾い漲る中で 蠱は歩き始め 常樂我浄 涅槃の雲まで
Submitted by NecroGod — Jun 07, 2026
「皆目見当つかず」 あたり疑雲に包まれ 紅鏡が沈む 轟々と畝る螺旋の線 禍々しく美しい おぞましく綺麗 神々しく邪悪 百筋に乱れし禍胎の覺醒 我に帰依せよ 我に帰依せよ 我に帰依せよ 白い花も卑しむが如く 散々に咲き乱れ 果敢無く 幾闇跨ぎ無漏の石となり 万物流転 仮有の現世は塵となり 万物流転 仮有の幽世は霧となり 陰々滅々陰々滅々 三界は窄く淺く乏しく 虚栄溢れし廃屋の闇 流れ出ずる人の渦 廻れ 廻れ 廻れ 廻れ 廻れ 廻れ常闇 捻れ捻れ 禍々しい紆曲の闇に散る聲 「この文献から察する限り、何かこう、見えない 禍々しい力が働いて、すべてがソレを中心に 動いていると言ふか、動かされていると言ふか…。 いったい何が起きてしまったのか…。 いったんその渦に巻かれてしまうと、内へ内へと 奥深く入り込み、外部との接触も断たれててしまう。 すべてが同じ方へ向かって動かされてゆき、行ったきり 還ってこられない蟻地獄のやふなものなのです。」 明けの空に 果敢無く… 無明も無く 無明の尽くることも無く 膝を抱え転げ落つる人の渦 底知れず 音を立て 畝りを上げ 地に蓋を… 流れゆく雲 固き礎の血となり肉となり 虚空に散る聲 無常遷流し 果ては石骨か 廻れ 廻れ 廻れ 廻れ 千尋の闇 やがて白濁の最後を迎へ 記憶の彼方に忘れ去る 「そしてまた新たな人の波が押し寄せ 何事も無かったかのやふに暮らし始める。 …閉ざされた地界も知らずに…。 そしてまた百年か先に 斜眼の塔が動き始める…。」
Submitted by NecroGod — Jun 07, 2026
闇夜に咲く花 首無しの花 心此処に在らず うつらうつら 涼しき眼虚空を転ぶ 物言はぬ傀儡なり 脈脈と続く 夕の老いと朝の生 樹立も無い地も無い 右も左も岩ばかり 乏窮無窮民の希求 月一奇跡の参拝 騙し貢がせ 手に入れし 右と左の観音菩薩 此岸彼岸疑似他界 欺瞞傲慢 虚構ばかり 慾塵無尽 惡しき浄土 阿鼻叫喚 阿鼻叫喚 誰にも知られず 哀れ屍と化して 名も無い儘子を生す 閑寂と躯内に潜み 生に浮遊死に流転 人は稀有の物として 老いを崇める 「吸ふてごらん」父が言ふ 甘く強く愛ほしい 昨日のことすら覺えておらず 此処にゐるは すでに人にあらず 焔羅 焔羅 憤怒の形相 焔羅 焔羅 振り翳された鍬 「いい香りだらう」 血に塗られた父が言ふ 菩薩は此処に在らず 誰からも遠ざかり 哀れ孤獨となりて 赤黒く染まった 人媒花を吸ふ 慟いても広大無辺 漂ふ朝は常久なり 累累群れをなし 押し寄せる昨日に啼泣 無始曠却よりこのかた 生死に輪廻 「むかうなら生きていける... むかうなら」 咲いては乱れ散る 花のやふに 名も無い儘土を這う
Submitted by NecroGod — Jun 07, 2026
生まれ生まれ 死に死んで 蝉時雨 有爲無常に響く 三千大千世界 夢幻泡影 三千大千世界 夢幻泡影 三千大千世界 夢幻泡影 三千大千世界 夢幻泡影 三千大千世界 夢幻泡影 三千大千世界 夢幻泡影 老婆の如く 割れ干涸らびた肌 餓えてもの言へぬ幼子は仄暗い母胎に宿る 鬼子神の吐息 鬼畜の吐息 蟲の息 土塊 石塊 胎内巡り 見れども 見えず 聞けども 聞こえず 匂へども 匂はず 触れども 触れられず 微笑ふ母の顔 泥眼の如く 滴る石榴 朱の色 無眼界 無意識界 數え數え 中陰の ツキノワ 獨り冥る 聲雷の如く地獄巡り 紅蓮の焔 三千大千世界 夢幻泡影 三千大千世界 夢幻泡影 三千大千世界 夢幻泡影 三千大千世界 夢幻泡影 三千大千世界 夢幻泡影 三千大千世界 夢幻泡影 汚穢に滿ちた ツキノワで 見知らぬ母が 仰向けに微笑ってゐた 見れども 見えず 聞けども 聞こえず 匂へども 匂はず 触れども 触れられず 嗤ふ兄の眼 墨の如く 配流の月に 睥睨 無眼界 無意識界 空の土煙り 地を這い響く 牛頭の鳴咽 空蝉の温もり 竃に熔けし母の愛 生まれ生まれ 生の終わりに冥し 死に死に死んで 死の終わりに暗し
Submitted by NecroGod — Jun 07, 2026
無い…無い…無い…無い… 蒼い絵空事 虚空に在る弓 噎せるやふな樹液の匂ひ 何処までも人遠い 窕い地の底で 慟哭の聲に溢れ 立ち昇る赫錯の匂ひ いつまで続くのだらう 千里の眼 膝に縋り 百骸の聲 宙を浮游い 緋桃の脣 惡戯に赫く 赫く赫く照り放つ 空は心となり頭蓋に忍び入るのか 蘇る 藻搔いても 藻搔いても 跫が縫れ 藻搔いても 藻搔いても 絡みつく あの漆喰の壁の向かうに何が在るのか… 聞こえる 何処か 何処か 遠くから 赫子の聲が… 絵空事 ムシロ凝視ラレティルノハコチラカモシレナイ ダラシナク空イタロカラ 呪詛ノ言靈ヲ吐キ続ケティルノカモシレナイ 両手デ強ク耳ヲ押サへ 脳裡二蠢クノ八耳鳴リカ 両手デ強ク目蓋ヲ押サへ 躯二纏ハリックノハ地蟲カ 何処かで怨嗟の聲聞こえし 鏡地獄 弓なりに撓んだ時軸 漆喰の壁に塗り込まれ 漆黒の闇を迎へ入れ 夥しい蠹魚 徽臭さと埃を纏ふ 静寂に呑み込まれ 罅割れと水溜まり 廢潰の影 宙を睨む 此処は魍魎の棲家か 鉛色の眼 傀儡の如し 痴れ物狂い 揺蕩ふ如し 馨しい夢語り 泡沫の夢 塵芥と為す 現つの闇に咲く花 柔らかな胎衣に包まれて 桃源郷で冥る 撓に生る首 玉敷きの庭 嫋やかに傾く眼界 桃源郷で冥る 姿無き蠱の音が聞こえる 欠けて儚い薄月 醜く埋もれた 蛹が蝶に成る 揺揺 宙を浮游い 眩眩 眩暈 両手でヤサシク 頚を絞めませふ 磊磊磊磊磊 磊磊磊磊磊 髮は麗しく 禍々しく 腕を弄ぶ 薄笑ひ浮かべ 耳を切り落とし 鼻を削ぎ落とし 目玉を刳り 口を裂きて血を流す 地蔵菩薩
Submitted by NecroGod — Jun 07, 2026